非エンジニアのClaude仕事術

Copilotなど他のAIとの使い分けも。

AI導入企業で働く非エンジニアが、現場で試して効いたClaudeの使い方を記録するブログです。

月2時間の報告書作りが10分になった

月2時間の報告書作りが10分になった|2つのデータが食い違ったら、項目ごとに「正」を決める

毎月2時間かかっていた報告書 毎月、お客様に提出している報告書がある。その月に対応した機器の保守を、1件ずつ表にまとめたExcelだ。 材料は2つある。 Salesforceの受付記録:いつ受け付けて、いつ完了したか 完了報告のメール:現場で何が起きていて、何をしたか 同じ案件のことが、2か所に分かれて書いてある。これを見比べながら、1件ずつ手で打ち込んでいた。毎月だいたい2時間かかる作業だった。 作ったもの 完了報告のメール(Outlook) Salesforceのレポート(Excel) ↓ ↓ Claudeが突き合わせる(受付番号などで同じ案件を探す) ↓ 前月の報告書をひな形に、今月のExcelを作る ↓ 自分で確認して、直すところは直してもらう ↓ 「アップロードして」と言ったら、共有フォルダへ送る 2時間が10分になった。 Salesforceからレポートを出して渡すところから、確認、送るところまで含めてだ。 速くなったのはもちろん嬉しい。ただ、作ってみていちばん効いたと思ったのは、速さとは別のところだった。 どちらのデータを信じるか、項目ごとに決めた 2つのデータは同じ案件のことを書いているのに、中身が食い違うことがある。 わかりやすいのが部署名だ。Salesforceには、組織変更の前の名前のまま登録されている部署がある。一方、メールには今の名前で書いてある。同じ部署なのに、名前が違う。 逆に、日時はSalesforceのほうが正確だ。受付も完了も、時刻まで記録されている。 そこで、項目ごとに「どちらを正とするか」を決めた。 項目 正とするほう 理由 部署名 メール Salesforceは組織変更前の名前が残っている 受付・完了の日時 Salesforce 時刻まで正確に残っている 現象・原因・処置 メール 現場の報告そのもの。足りない分はSalesforceで補う 「どちらか片方を信じる」でも、「毎回見比べて人が判断する」でもない。項目ごとに先に決めておく。 手作業のころは、これを毎回その場で判断していた。ルールにして渡してからは、Claudeは毎回同じ判断をする。 2つのデータが食い違ったら、項目ごとに「どちらが正しいか」を先に決めておく。 月次の照合作業を自動化した記事でも、2つのデータの突き合わせに苦労した。あのときに先にこれを決めておけば、もっと楽だったと思う。 決められないものは、聞いてくる ルールをどれだけ決めても、判断できないものは残る。今回は、次の3つは推測で埋めずに聞いてくるようにした。 部署名が食い違っていて、どちらとも判断できないとき 完了報告のメールが見つからない案件 報告の対象に含めるかどうか、こちらでしか判断できない案件 書いていて気づいたが、この考え方は3回目だ。 記事 判断がつかないとき 46万件のファイル整理 迷ったら全部「要確認」に入れる 書類のチェック 推論せずに確認する 今回 推測で埋めずに聞いてくる 別々の仕事で、同じところに落ち着いた。ファイルでつなぐ話と並んで、AIに仕事を任せるときの定石だと思っている。 いきなり本番を作らない 最初の1回は、わざとテスト版として作った。 ルールが多い業務なので、いきなり本番を作ると、細かい認識のずれがそのまま報告書に入ってしまう。まずテスト版で一度作らせて、出来上がったものを見ながら「ここはこう書く」「これは載せない」と擦り合わせた。そのあとで本番を作った。 本番でも、見直しで直したところはあった。そこは指示して直してもらい、同じ間違いが二度起きないようにルールに書き足した。AIへの頼み方の記事で書いた「同じことを二度説明したら、文書にすべきサイン」を、そのままやった形だ。 送るのは、人の目を通してから 完成した報告書の置き場所は、お客様と共有しているフォルダだ。上げた瞬間に、お客様から見える。 だから送る操作だけは、自分が中身を確認して「アップロードして」と言うまで動かないようにしてある。 作業 担当 突き合わせて報告書を作る Claude 中身を確かめる 人 共有フォルダへ送る Claude(人の目を通してから) 書類の仕分けの記事では「運搬・判断・確認」を分けた。今回はそれに「外に出すものは、必ず人の目を通す」が加わった。 ...

2026年10月16日 · 1 分
11月10日、会社のClaudeにも「統合」が来る

11月10日、会社のClaudeにも「統合」が来る|Bedrock経由版で何が変わりそうか(予告編)

個人のClaudeでは、9月にもう来ていた 9月、個人で使っているClaudeで、チャットとCoworkが統合された。そのことにまったく気づかなかった話は前に書いた。 その記事の最後に、こう書いていた。会社のClaudeには、まだ来ていない、と。 10月に入って、その「会社のほう」に動きがあった。 会社のClaudeは、別の流れで動いている 会社で使っているClaudeは、Amazon Bedrock経由で動いている(はじめにで書いた従量課金の環境だ)。Anthropicの変更履歴では、BedrockやGoogle Cloudなど外部のクラウド経由で使う版は、個人向けとは別の枠で更新内容が書かれている。 この2か月の大きなニュースを並べると、違いがはっきりする。 9〜10月のニュース 個人のClaude(Pro) 会社のClaude(Bedrock経由) チャットとCoworkの統合(9/16) 来た 来ていない(11月10日に来る) 文書・スライドを作る機能(Claude Docs/Slides) 来た 今のところ来ていない Coworkの作業がクラウドで動くように(10/6) 対象 対象外(対象はPro・Maxプラン) 世の中のClaudeのニュースは、ほとんどが個人向けや法人プランの話だ。Bedrock経由で使っていると、ニュースを読んでも手元では何も起きないことが多い。 もうひとつ、うちの会社の事情がある。会社のClaudeではCoworkしか使えない。チャットの画面は、管理者の設定で止められている。Bedrock経由版にもチャットはあるので、これは製品の仕様ではなく会社の設定だ。 11月10日に何が起きるか 10月8日、外部クラウド経由版の変更履歴に、こんな項目が追加された。 チャットとCoworkをひとつにまとめる「統合版」(ベータ)を追加。設定をしなければ、11月10日までは今の形のまま、11月10日に全組織で統合版がオンになる。 管理者が選べるのは3つだ。 管理者の設定 どうなるか 統合版をオン すぐ統合版になる オフ チャットもCoworkも両方止まる 何も設定しない 11月10日までは今のまま → 11月10日に統合版になる つまり、「今のまま使い続ける」という選択肢はない。11月10日以降は、統合版か、全部止めるかのどちらかになる。 告知が10月8日で、適用が11月10日。前回の記事で触れた「法人向けは30日以上前に知らせる」という公式の説明と、同じくらいの間隔だ。 分からないこと 正直に書いておく。 うちのように、チャットを止めている会社がどうなるのかは、変更履歴からは読み切れなかった。統合版の設定を入れると、今の「チャットを使う/使わない」の設定は効かなくなる、とは書いてある。ただ、何も設定しないまま11月10日を迎えたとき、チャットを止めていた会社がどう扱われるのかまでは書かれていない。 ここは11月10日に実際に見て、報告する。 情シスに伝えておきたいこと 社内でClaudeを使っているのが自分だけ、という人は多いと思う。その場合、情シスがこの変更履歴を読んでいる可能性は低い。以下は、そのまま伝えてしまっていい内容だ。 ① 11月10日に、何もしなくても統合版になる 設定しないまま迎えると、自動的に切り替わる。止めたいなら「オフ」だが、その場合はチャットもCoworkも使えなくなる。 ② 設定値は小文字で書く 統合版をオンにする値は standard。変更履歴によると、Standard のように大文字で書くと認識されず、「オフ」扱いになる。統合版にするつもりで、チャットもCoworkも全部止めてしまうことになる。たった1文字の違いだ。 ③ 10月8日の朝、古い設定の書き方が使えなくなった 管理用の設定には、古い書き方の受付期限があった(日本時間で10月8日の朝4時)。9月10日からアプリ内に警告が出ていたはずだ。外部サービスとつなぐ機能(コネクタ)の設定に古い書き方が残っていると、書き直すまでそのコネクタが使えなくなる。 実は10月8日以降、会社のClaudeでBoxとの接続が切れていた。一瞬これを疑ったが、つなぎ直したら戻った。前にも書いた「たまに切れる」のほうだったようだ。 つなぎ直して戻るなら、いつもの切断。戻らないなら、③を疑う。 この見分け方は覚えておくといい。 ついでに:Bedrock経由版だけに効いていた修正 変更履歴を読んでいて、従量課金で使っている人には見逃せない修正も見つけた。 修正 中身 当てはまる人 2回課金されていた(8月に修正) リクエストが黙って送り直され、1回の依頼が2回分課金されていた 応答の種類を示す情報を削ってしまう中継サーバー(プロキシ)を通している場合 安くなる仕組みが効いていなかった(8月下旬に修正) 同じ前置きを使い回して費用を下げる仕組み(キャッシュ)が働いていなかった 中継用の仕組み(ゲートウェイ)や独自の接続先を経由している場合 定期タスクが黙って実行されなかった(9/15に修正) AWSのサインインが切れていると、エラーも出さずに飛ばされていた 定期実行を使っていて、サインインが切れることがある場合 上の2つは特定の接続構成のときだけなので、全員が当てはまるわけではない。自分の会社がどの構成なのかも分からない。ただ、7〜8月の請求が使った量のわりに高かったなら、確認してみる価値はあると思う。 ...

2026年10月10日 · 1 分
Teamsの自動投稿を、上司が朝礼で読み上げていた

Teamsの自動投稿を、上司が朝礼で読み上げていた|Power AutomateとBoxで「朝の1画面」を作った

アーティファクトで、何か作ってみたかった きっかけは単純で、アーティファクトで何か作ってみたかった。 Boxの管理画面を作った記事で書いたとおり、アーティファクトは「実行ボタン」から「常設の画面」まで作れる。ただ、作れることが分かっても、何を作ればいいかは別の問題だ。道具を先に手にして、使い道を探している状態だった。 朝礼で見かけた光景 使い道は、朝礼にあった。 毎朝8時、Teamsにいくつかの通知が自動で届く。上司から頼まれて、以前Power Automateで作ったものだ。今は4種類ある。実施漏れ、連携漏れ、登録漏れ、未完了——どれも「やり忘れがないか」を知らせる通知だ。 もとをたどると、どれも誰かが毎日手でやっていた確認だった。管理職がSalesforceのレポートを開いて数字を拾っていたものもあれば、自分が朝礼前に集計していたもの(未連携チェックの記事)もある。それを自動投稿に置き換えた。 ある朝、朝礼を見ていて気づいた。 上司が、その投稿を開いて読み上げていた。 通知はちゃんと使われていた。見られていない、ということはない。ただ、4つの投稿を順番に開いて、数字を口頭で伝える——Teamsと朝礼のあいだを、人がつないでいた。 書類チェックの記事で「出口が大事」と書いた。この通知には出口があった。朝礼だ。でもその出口まで、最後の一歩は人が運んでいた。 人が読み上げているものは、まだまとめる余地がある。 投稿を1つずつ見に行かなくても、全部が1画面に集まっていて、その横に朝礼で話すことをメモできる。管理職にとって便利なのは、たぶんそういう画面だと思った。 作ったもの 毎朝8時20分に自動で更新される画面を、アーティファクトで作った。 表示するもの 内容 4種類の通知 それぞれの件数(登録漏れは内訳も) 元の投稿へのリンク 各項目からTeamsの投稿へ飛べる 本日未更新の表示 その日のデータがまだ来ていなければ「⚠️ 本日未更新」と出す メモ欄 右側に自由に書ける。書いた内容は自動で保存される 地味だが気に入っているのは「本日未更新」の表示だ。数字が昨日のままでも、画面だけ見ていると気づけない。古い情報を新しいものと思い込むのがいちばん怖いので、はっきり分かるようにした。 2回失敗した 画面の形はすぐ決まった。難しかったのは、データをどこから持ってくるかだった。 1回目:Teamsの投稿を直接読む → 断念 最初に考えたのは素直な方法だ。社内のClaudeには、TeamsなどMicrosoft 365とつながる機能(コネクタ)がある。それで今朝のTeams投稿を探して、数字を読み取ればいい。 ところが、試してみると使えなかった。 「日付で絞る」ことと「チャネルの投稿を探す」ことが、同時にできない。 日付で絞れる探し方はチャネルの投稿に対応しておらず、チャネルの投稿を探せる方法は日付で絞れない キーワードを変えて何度も探そうとすると、呼び出しが多すぎると拒否されて、結果が0件になる 「今朝の、このチャネルの投稿」という一番ほしい探し方が、仕様の組み合わせでできなかった。どこにも書いていない制約で、試して初めて分かった。 2回目:SharePointのリストを経由する → 断念 次に考えたのは、Power Automateに結果を別の場所へ書かせる方法だ。Teamsに投稿するついでに、SharePointのリスト(表のようなもの)にも書き込む。 書き込みは成功した。ところが今度は、Claudeの側にSharePointのリストを読む手段がなかった。 書けるのに、読めない。これも実際にやってみて初めて分かった。 3回目:Boxのファイルでつなぐ → 成功 最後にたどり着いたのがこれだ。 Power Automate(毎朝8:00) ↓ これまで通りTeamsに投稿 ↓ 同時に、BoxのTXTファイルに結果を上書き保存 (投稿日時・件数・Teamsへのリンク) アーティファクト(毎朝8:20) ↓ Boxのファイルを読んで、画面に表示 BoxはClaudeから問題なく読めることが、前に作った管理画面で分かっていた。Power Automate側は、既存のフローに**「Boxへの書き込み」を1つ足すだけ**で済んだ。 3回目も、ファイルでつないだ 書いていて気づいたのだが、これは3回目だ。 記事 何をファイルでつないだか 書類の仕分け 仕分けが終わった合図 書類のチェック 新しく増えたフォルダの一覧 今回 毎朝の通知の結果 どれも「直接つながらないものを、ファイル1つでつなぐ」形になっている。 ...

2026年9月29日 · 1 分
Coworkが無くなった。気づかなかった

Coworkが無くなった。気づかなかった|機能の名前は変わる、頼み方は残る

軸にしていたものが、消えるらしい 2026年9月16日、AnthropicがClaude Coworkとチャットを統合すると発表した。1つの画面にまとまり、新しい画面には**「Cowork」を選ぶ項目そのものがなくなった**。公式の言葉を借りれば、「Claude Coworkは、ただのClaudeになった」。 機能がなくなったわけではない。消えたのは、Coworkを選ぶ入口のほうだ。 これを知って、正直まずいと思った。 このブログは、Coworkの話で11本書いてきたからだ。できたこと・できなかったことの記事はタイトルからしてそうだし、Copilotとの比較も、その名前を前提に書いている。 軸にしていた言葉が無くなる。書き直しか、と身構えた。 ところが、気づいていなかった 自分のパソコンには、すでに統合版が来ていた。 気づいたのは、週に一度まとめているニュースを読んだときだ。ニュースで知るまで、自分の画面が変わっていたことに気づいていなかった。 しかも普段はスマートフォンから使うことのほうが多い。つまりパソコンでもスマホでも使っていて、両方とも気づかなかったということになる。 11本書いてきた当人が、である。 なぜ気づかなかったのか 考えてみて、理由はひとつしか思い当たらなかった。 頼み方が、何も変わっていなかったからだ。 前と同じように「これをやっておいて」と日本語で書いて、あとは任せる。返ってきたものを見て、直してもらう。その行為が1ミリも変わらなかったので、入れ物の名前が変わったことに気づきようがなかった。 ここで、自分の思い込みがひとつ壊れた。 自分が使っていたのは「Coworkという機能」ではなかった。「Claudeに仕事を任せる」という行為のほうだった。 機能の名前は、その行為を入れておく箱にすぎなかった。箱が別のものに替わっても、中身が同じなら、使っている側は気づかない。 AIへの頼み方をまとめた記事に、こう書いた。 同じことを二度説明したら、それは文書にすべきサイン あのとき書いたのは頼み方の話で、機能の話ではなかった。だから今回の変更で、1行も古くならなかった。 非エンジニアがAIの新機能に対して一番感じる不安は、たぶん「また覚え直すのか」だと思う。今回それを実地で確かめた形になった。 機能の名前は変わる。頼み方は残る。 覚えるなら、後者のほうが長持ちする。 何が変わって、何が変わらなかったか 公式の説明と、実際に使ってみた感触を並べるとこうなる。 内容 変わったこと チャットと作業依頼が1つの画面に統合。「どちらで頼むか」を選ばなくてよくなった Claudeが内容を見て、すぐ答えるか、裏で長めに作業するかを自分で判断する 全体の指示を書く場所が「設定 › 一般」へ移動 文書を書くClaude Docs、スライドを作るClaude Slidesがベータで追加 変わらなかったこと これまでの会話・成果物・外部サービスとの連携・登録した手順は、そのまま引き継がれる 頼み方 いちばん大きい変更は「どちらで頼むかを選ばなくてよくなった」だと思う。ただ、自分の場合はそもそも迷っていなかった。重い作業を投げるときも、軽く聞くときも、同じ調子で書いていたからだ。 だから、選択肢が消えたことにも気づかなかった。 ⚠️ ひとつだけ、気づかないと損する変化がある ここまで「気づかなくて大丈夫だった」という話をしてきたが、1つだけ例外がある。 使える量の枠が、ひとつにまとまった。 これまでは感覚として「重い作業」と「軽い質問」が別勘定のように思えていた。これからは同じ枠から引かれる。長い作業は、普通の質問より多く消費するとも明記されている。 正直に書くと、自分はまだこれを実感していない。急に上限に当たった、といった経験はない。 ただ、理屈の上ではこういうことが起きうる。 パソコンで重い作業をさせる ↓ 同じ枠から引かれる スマホで普段どおり質問したら「上限です」 食う側と、困る側で、端末が違う。 しかも時間もずれる。これは原因にたどり着きにくいと思う。知らなければ「アプリが壊れた?」で終わってしまう。 今回のことで、変化には2種類あるのだと整理できた。 例 どうすればいいか 気づかなくていい変化 画面の統合、名前が消えること 追いかけなくていい。現に気づかずに使えていた 気づかないと困る変化 使える量の枠がひとつになった これだけは知っておく 新機能の発表があるたび全部を追いかけるのは、正直しんどい。追わなくていいものと、これだけは見ておくものを分ける。今回の学びはここだった。 ...

2026年9月20日 · 1 分
AIに書類チェックを任せてみた

AIに書類チェックを任せてみた|信用できるかは「分からない」と言えるかで決まった

「Claudeで作れないか」と言われた 上司から相談があった。書類のチェックを自動化できないか、という話だ。 前提として、すでに似た仕組みは動いていた。書類を共有フォルダにアップロードするとき、その場でCopilotに読ませて、決まった観点でチェックする——という運用だ。1件ずつなら、これで足りている。 問題はすでにアップロードされた分だった。Copilotからは共有フォルダの中のファイルに手が届かない。つまり「入口」は見張れても、すでに積まれたものをまとめて確認する手段がなかった。 そこを埋められないか、というのが相談の中身だった。 作ったもの 構成は素っ気ないくらい単純だ。 8:50 / 17:50 PowerShell ↓ 新しく増えたフォルダを検出して、一覧をファイルに書き出す 9:00 / 18:00 Claude(スケジュール実行) ↓ その一覧を読んで、PDFをチェック ↓ 結果をまとめて共有フォルダに出力 ↓ 処理済みとして記録 1日2回、誰も操作しない。 朝出社したら、前日分のチェックが終わっている。 なぜこの形になったのか、2つだけ書いておく。 ① 一度に全部やらせたら、途中で止まった 最初は素直に「フォルダの中を全部見て」と頼んだ。途中でタイムアウトして止まった。 考えてみれば当然で、対象は月に1000件近くまで増えていく。しかも毎日増え続けるので、放っておけば量は膨らむ一方だ。一度で終わらせようとする限り、いつか必ず破綻する。 そこで方針を変えた。すでに処理したフォルダを記録しておいて、前回から増えた分だけを渡す。 その「増えた分を見つける係」をPowerShellに任せている。 これで止まらなくなったし、読ませる量が減るので費用も下がる。46万件のファイルを整理したときにも同じ結論に辿り着いていた。 止まることを前提に作る。一度で終わらせようとしない。 別の業務で、また同じ教訓を踏んだことになる。大量のものを扱うときは、たぶんこれが唯一の正解なのだと思う。 なお読ませるのも原則1ページ目だけにしている。必要な情報はそこにしかないからだ。 ② 直接つながらないので、ファイルでバトンを渡す PowerShellとClaudeのスケジュール実行は、互いを呼び出せない。そこで10分ずらして動かし、あいだをファイル1つで繋いだ。8:50に一覧が書き出され、9:00にそれを読む。 書類の仕分けを作ったときも、完了の合図をファイルで渡していた。直接つながらないものを、ファイル1つで安全につなぐ——同じ手を2回使ったことになる。地味だが、これが一番壊れにくい。 いきなり、人の見落としを見つけた テスト段階で、予想していなかったことが起きた。 すでに人の目を通っていた書類から、チェック漏れが見つかった。 レ点を入れるべき欄が空欄のまま、というものだ。 考えてみると当然かもしれない。人は書類を読むとき、「ここにはレ点があるはずだ」と無意識に補ってしまう。何十枚も見ていればなおさらだ。機械はそれをしない。 空欄は空欄として見る。 ここで感じたのは、人の代わりをさせているのではないということだった。人が得意なところと、機械が得意なところは違う。今回埋まったのは、人がどうしても苦手な種類の見落としだった。 でも、いちばん安心したのは別のところ 成果としては上の話が分かりやすい。ただ、実際に使っていて安心したのは違う点だった。 判断が付かないものについて、勝手に決めずに聞いてくる。 これは意図してそう設計した。チェックのルールに、こう書いてある。 判断が付かない項目、および書類にその項目自体が存在しない場合は、推論せずに確認すること。 なぜこうしたか。**検査という仕事で怖いのは、間違えることより「間違えたことに気づけないこと」**だからだ。 もしAIが「たぶん問題ないでしょう」と埋めてしまったら、こちらはそれを信じる。逆に「たぶん不備です」と言われて、それが的外れなら、確認の手間が増えて信用を失う。どちらも困る。 分からないものを分からないと言ってくれるなら、残りは信じられる。 信頼性というのは正確さの話だと思っていたけれど、実際に使ってみると**「言わないことを決められるか」**のほうが効いた。 これは以前46万件のファイルを仕分けたときに決めたルールと同じ構造だった。 迷ったら全部「要確認」に入れる。AIに「たぶん消していいと思います」と判断させない。 別の業務で、同じ原則がまた効いた。たぶんこれは、AIに判断を任せるときの一般的な作法なのだと思う。 最初は、盛大に誤検出した もっとも、最初からうまくいったわけではない。 初期に多かったのが「存在しない項目を不備として報告してくる」というものだった。書類にはいくつか種類があって、種類によってある項目とない項目が違う。それを知らないまま「この項目が空欄です」と指摘してくる。 これはAIが賢くないのではなく、こちらが伝えていなかっただけだ。何ができて何ができないかは最初に一通り調べてあったけれど、業務のルールは調べても出てこない。自分で伝えるしかない部分だった。 だからルールを書き足した。 書類に存在する項目のみをチェック対象とすること。 これで解消した。AIへの頼み方をまとめた記事に「同じことを二度説明したら、それは文書にすべきサイン」と書いたけれど、まさにその通りだった。誤検出が出たら、まず自分の指示を疑う。 「作って終わり」ではなく、育てる期間がある 正直に書いておくと、この仕組みはまだ完成していない。 チェックすべきパターンが多く、新しい書式が出てくるたびにルールを足していく必要がある。当面は、出てきた誤検出を見ながら人が教え続けることになる。 これは面倒に聞こえるかもしれないが、人に仕事を引き継ぐときも同じだと思う。最初から完璧に引き継げる仕事はない。何度か一緒にやって、例外を伝えて、だんだん任せられるようになる。相手がAIでも変わらなかった。 そして——誰も見ていない ここまで書いておいて、いちばん大事なことを書く。 ...

2026年9月9日 · 1 分
アーティファクトでBoxの管理画面を作った

アーティファクトでBoxの管理画面を作った|チャットでは動くのに、中では動かないもの

アーティファクトの使い道が、また一段広がった 以前、書類の仕分けを自動化した記事で、Claudeの「アーティファクト」という機能の使い道について書いた。要約するとこうだ。 繰り返しやっている作業のボタンを1つ作ってみる。アーティファクトは、AIへの指示を「アプリの操作」に変換する道具として使える。 今回はその続きになる。ボタン1つではなく、画面の横に出しっぱなしにしておく管理画面を作ってみた。 きっかけは、社内のClaudeにBoxとつながる機能(コネクタ)が入ったことだった。 作ったもの 2つ作った。 ① ファイル一覧・更新監視の画面 Boxのフォルダをブラウザ上で開いて、中身を見られるようにしたもの。 フォルダをクリックして階層を掘り下げられる(パンくず表示つき) ファイル名・サイズ・更新日時を一覧表示、列見出しをクリックで並べ替え 名前で絞り込み検索 前回見たときからの差分を検出して、更新・新規のファイルに色を付ける ② Box AIで一括分析する画面(本命だった) こちらは少し説明が要る。Box AIというのは、Box自身が持っているAI機能のことだ。Claudeとは別物で、Boxに置いてあるファイルをBoxの中で読んで答えてくれる。 なぜそれを使いたかったかというと、ファイルの中身をClaudeに送らなくて済むからだ。社内のClaudeは使った分だけ費用がかかるので、大量のファイルをそのまま読ませると高くつく。Box AIに読ませて要約だけ受け取れば、こちら側の負担はぐっと減る。46万件のファイルを整理したときに学んだ「必要な分だけ読ませる」の応用でもある。 作ったのは、フォルダ内のファイルに対してまとめてBox AIに指示を出す画面。「要点を抽出して」「リスクがありそうな箇所を挙げて」といった指示を自由に書いて、結果を一覧で見る——そんなものを想定していた。 契約書の要点抽出や、議事録からのアクション整理に使えるはずだった。 ところが、本命が動かなかった ②を動かしてみたら、すべてのファイルでエラーになった。Access denied——アクセスが拒否された、という意味だ。 調べていくと、原因は権限の設定だった。少し細かい話になるが、大事なところなので書いておく。 Box AIを外部のアプリから呼び出すには、2段階の許可が必要だった。 会社としてBox AIを有効にする → これは有効になっていた(Boxの画面から直接使えたので) アプリごとにBox AIの利用を許可する → こちらが未設定だった つまり「自分はBoxの画面からBox AIを使えるが、Claudeという"アプリ"にはBox AIを使う許可が下りていない」という状態だった。 ここで時間を使ったのは、最初にフォルダの閲覧権限を疑っていたことだ。ファイル名や更新日時は取れているのだから権限はあるはずなのに、と混乱した。切り分けの決め手になったのは「Boxの画面から手で操作すると成功する」という事実で、そこから「人ではなくアプリの側の権限だ」とたどり着いた。 そして、この権限はたぶん下りない 原因が分かったので、管理者への依頼文書を作った。ここまではSalesforceの設定を依頼したときと同じ流れだ。 ただ、今回は事情が違った。 この設定は、契約全体に対して有効になる。 外部アプリへの許可は、利用者ごとや部署ごとに切り分けられない。つまり依頼を受ける側から見ると、 「この会社(あるいはグループ全体)で、この外部アプリにBox AIを使わせてよいか」 という判断になる。こちらの感覚では「試しに使ってみたいだけ」でも、受け取る側にとっては全社の話なのだ。 そう考えると、一人の試用のために全体の設定を変えてもらうのは、筋として重い。通らない可能性のほうが高いと考えたほうが自然だと思った。 だから「使えないまま運用する」形にした ここが今回いちばん考えたところだ。 選択肢は2つあった。 A:許可が下りるまで待つ(下りなければ、作ったものは無駄になる) B:使えないままでも回る形にする Bを選んだ。 具体的には、Box AIで処理できなかったファイルに対して「Claudeのチャット用の指示文をコピー」というボタンを置いた。押すと、そのファイルに対する指示文とフォルダの情報が丸ごとコピーされる。あとはチャットに貼り付ければ、同じことができる。 自動ではない。ひと手間かかる。それでも、画面を見て「これを分析したい」と思ったその場から、2クリックで先に進める。 「使えるようになったら本気を出す」をやめた この判断は、たぶんこのブログでいちばん伝えたいことに近い。 社内でAIを使っていると、自分では動かせない壁に何度もぶつかる。権限、契約、管理者の判断。どれも自分の努力とは関係のないところで決まる。 そのたびに「解決したら再開しよう」と止めていたら、たぶん何も進まない。実際、以前に書いたできたこと・できなかったことの記事でも、ネットワーク上のフォルダが見えないという制約を、別のツールに運ばせることで回避した。あのときと考え方は同じだ。 制約は消えるのを待つものではなく、そのまま抱えて設計に織り込むもの——これが数か月かけて身についた感覚だと思う。 もちろん、依頼は出してある。通れば儲けもの、くらいの気持ちでいる。 アーティファクト内での制約(実際に踏んだもの) もうひとつ、作ってみて初めて分かったことがある。チャットでできることが、アーティファクトの中では必ずしもできない。 同じClaudeなのに、動く場所によって挙動が違うのだ。実際に踏んだものを書いておく。 制約 内容 ファイルの中身をそのまま取得できない 画像やPDFなどのデータを直接扱うツールは、アーティファクト内から呼び出すとエラーになる 連続で呼ぶと止まる 短時間にたくさん呼び出すと「リクエストが多すぎます」と拒否される。件数の上限を設けて回避した 画面内から呼び出すClaudeは精度が落ちる アーティファクトの中からもClaudeを呼べるのだが、使われるのは軽量なもので、チャットで対話するときほど賢くない。込み入った判断は任せられない(※Box AIとは別の話) 3つ目は特に注意が要る。「チャットでうまくいったから、画面に組み込めば同じことができるだろう」と考えると、たぶん失敗する。アーティファクトは"賢い判断"を任せる場所ではなく、“決まった操作"を並べる場所だと考えたほうが良さそうだ。 ...

2026年9月2日 · 1 分
Copilot Coworkの従量課金はいくら?

Copilot Coworkの従量課金はいくら?|公式の料金とClaude Coworkとの違い

先に結論:料金で押さえたい3つ 月額ライセンスだけでは使えません。 Copilot Coworkは、Microsoft Copilotのユーザーライセンスに加えて、使った分のCopilotクレジットがかかります 単価は1クレジット0.01米ドルです。 公式の目安は、軽い作業で約1〜3ドル、中くらいで約3〜7ドル、重い作業で約7ドル以上です 実行する前に費用は分かりません。 確認できるのは実行後です。だから、上限とアラートの設定が歯止めになります いずれも2026年11月時点の公式資料で確認しました。 この記事の立場:Copilot Coworkは未使用です この記事は「Copilot Coworkを使ってみた」という話ではありません。自分はまだ触っていません。 書いているのは、Claude Coworkを会社で従量課金で使ってきた人間が、Copilot Coworkの公式資料を読んで考えたことです。使用感のレビューを探している方には物足りないと思います。 従量課金の料金は、公式のどこに書いてあるのか 先に結論を書きます。 単価や目安は、製品の説明ページではなく、別冊の料金ガイドに書いてありました。 情報の正確さを3段階で書きます 料金の話は、出どころによって情報の正確さがまちまちです。この章では、項目ごとに正確さを書いています。 正確さ 意味 公式で確認 Microsoftの公式資料に書いてあるのを直接確かめた 公式に記載なし 今回調べた範囲の公式資料には見つからなかった 利用者の報告 解説動画などで語られていた内容。公式の裏付けはない 調べたのは、Microsoft Learn(公式ドキュメント)の料金・管理まわりのページと、Microsoftが出している料金ガイド Copilot Credits Guide(2026年11月版) です。 料金の基本 項目 内容 情報の正確さ 料金の分かれ方 日常のチャットや文書作成などはユーザーライセンスの範囲。Cowork、Code、Autopilotのように任せる仕事は従量課金 公式で確認 課金の単位 Copilotクレジット。複数のサービスで共通に使う「通貨」のようなもの 公式で確認 1クレジットの単価 使った分を後払いする方式で 1クレジット=0.01米ドル 公式で確認(料金ガイド) 支払い方 使った分の後払いのほか、1年分をまとめて前払いする方式もある(量が多いほど割引)。前払い分の使い残しは、期間が終わると失効する 公式で確認(料金ガイド) 使うための前提 Microsoft Copilotのユーザーライセンス、Coworkの有効化、従量課金の有効化、そして組織の契約単位(テナント)でAnthropicの利用を有効にしていること 公式で確認(料金ガイド) 月ごとの上限 組織が決める。上限に達すると、その月の残りは使えなくなる。使い残しは翌月に繰り越されない 公式で確認 上限の目安 Microsoftは、1人あたりの月間上限を2,000クレジット以上に設定するよう案内している(単価で計算すると約20ドル) 公式で確認 ユーザーライセンス自体の月額 よく「月30ドル」と書かれているが、今回見た資料には金額の記載がなかった 公式に記載なし 実行前の見積もり できない。 実行後に /cost と打つと概算を確認できる。ただし正式な請求記録ではない 公式で確認 ※料金ガイドによると、「Microsoft 365 Copilot」は2026年8月に「Microsoft Copilot」へ名称が変わっています。 ...

2026年8月29日 · 2 分
非エンジニアのためのAIの頼み方

非エンジニアのためのAIの頼み方|技術より効いた6つのこと

効いたのは技術ではなく、頼み方だった このブログではここまで、業務をどう自動化したかを事例として書いてきた。書類の仕分け、記入漏れの通知、46万件のファイル整理——どれも、こちらはプログラミングができないまま作ったものだ。 一通り書き終えて振り返ってみると、うまくいったかどうかを分けていたのは技術の知識ではなかった。何かを覚えたから作れるようになったわけではない。変わったのは頼み方のほうだ。 そして面白いのは、身についたコツのほとんどがAI特有のテクニックではないことだった。人に仕事を頼むときとほぼ同じだったのだ。 この記事では、実際に失敗したり助かったりしながら身につけた6つを書いておきたい。 ① 言葉で説明できないなら、画面を見せる これがいちばん即効性があった。 初めて触るツールは、画面の各部分に何という名前が付いているのかが分からない。だから言葉で説明できない。 「右上の……なんか歯車みたいなやつの下に出てくる、青い文字の部分」 こんな説明で伝わるはずがない。だから画面を撮って貼り付けて、「これのどこを押せばいい?」と聞く。 用語を知らなくても質問できるようになると、調べる時間がまるごと消える。「この機能の正式名称は何だろう」と検索する手間がなくなるからだ。 (この点は使うAIによってかなり差が出た。詳しくはClaudeとCopilotを使い比べた話に書いている) ② 「何が起きているか分からない」まま聞いていい 非エンジニアがいちばん躊躇するのは、たぶんここだと思う。きちんと整理してから聞かないと失礼な気がする、という感覚だ。 でも実際には、こんな聞き方で十分だった。 「フィルターが効かない。空の行があるはずなのに0件になる。なんで?」 症状しか言えていない。原因の見当もついていない。それでも会話は成立するし、むしろこちらが思いつかない仮説を出してもらえる。 このときの答えは「列の名前に、目に見えない文字が混ざっている可能性がある」だった。自力では一生たどり着けなかったと思う。 分からないことを分からないまま渡していい。 ただし、次の点だけは押さえておく必要がある。 ③ 道筋は分からなくていいが、ゴールだけは自分で決める ②と矛盾するようだが、「何がどうなってほしいか」だけは自分で決めておく必要がある。 ❌ 「この作業を効率化したい」 → 何をもって効率化かが分からない ⭕ 「毎朝この表を開いて未入力を探している。これを自動で知らせてほしい」 道筋(どうやるか)は知らなくていい。むしろそこを一緒に考えるのがAIの得意分野だ。でもゴール(どうなったら成功か)を決められるのは自分だけだ。ここを預けてしまうと、それらしいけれど的外れなものが出てくる。 自分の場合、AIに相談するときの型はだいたいこの4つを揃える形に落ち着いた。 伝えること 例 ゴール 未入力の行を毎日チャットに通知したい 場所 対象のファイルはここにある 出力の形 一覧の表で、宛先はこのチャット 判断のルール この取引先は対象外。空欄と「未確認」の両方を拾う この4つが揃っていると、たいてい一発で話が進む。逆に足りないと「これはどうしますか?」の往復が増えて、時間も費用もかかる。 ④ 迷ったときにどちらへ倒すかを、先に決めて渡す これは失敗しかけて学んだことだ。 46万件のファイルを「消していいもの/残すもの」に仕分けてもらったとき、最初に決めたルールがこれだった。 迷ったら全部「要確認」に入れる。 AIに「たぶん消していいと思います」と判断させない、ということだ。確信が持てないものはすべて人間が見る側に回す。 判断を任せるときは、正解の基準よりも「迷ったときの倒し方」を決めておくほうが大事だと感じている。人に仕事を頼むときも同じで、「困ったら止めて相談して」と言っておくかどうかで結果が変わる。 (この話は46万件の整理の記事に詳しく書いた) ⑤ 毎回言うことは、書いて置いておく AIとの会話は、次に新しく始めたときには引き継がれない。前回どれだけ丁寧に説明していても、翌日にはゼロからになる。 だから毎回同じ説明をするはめになる。これが地味に効いてくる。時間もかかるし、従量課金の環境なら費用にも直結する。 解決策は単純で、決まりごとを文書にして置いておくこと。しかもこれは、2段階に分けられる。 全体に効くもの(グローバル指示) 設定画面に書いておくと、どの作業をするときにも効く。ここに書くのは「どの仕事でも変わらないこと」だけにしている。 呼び名や口調 確認のやり取りを最小限にする方針 費用を意識してほしいという方針 その業務だけに効くもの(作業フォルダの指示書) 業務ごとのフォルダに CLAUDE.md という名前の文書を置くと、そのフォルダで作業するときだけルールが効く。自分が書いているのはこういうことだ。 ファイル名やフォルダの付け方のルール 処理が終わったら完了の合図を残すこと この業務で使う言葉の定義 迷ったら業務フォルダ側に書くのがいいと思う。全体に書いたことは全部の作業に付いて回るので、増やしすぎると毎回それを読ませることになるし、他の業務では邪魔になる。 ...

2026年8月17日 · 1 分
Excelでは開けるのに、プログラムでは読めなかった

Excelでは開けるのに、プログラムでは読めなかった|月次の照合作業を自動化した話

月に一度、2つのデータを突き合わせる作業 月次でやっている確認作業がある。 システムに登録された案件のデータと、正しい情報がまとまった台帳。この2つを突き合わせて、登録した時点で正しい請求先が書かれていたかを1件ずつ確認する。書かれていなかったものは後で直さなければならないので、洗い出しておく必要がある。 判断はそう単純ではない。番号で書かれているものもあれば、会社名だけ書かれているものもある。書き方が少し違うだけで実質は合っているケースもある。そもそも確認の対象外にしている取引先もある。 つまり**「これは合っている、これは違う」を人の目で判断していく作業**で、件数がまとまると相当に骨が折れる。これをなんとかしたかった。 最初の壁:Excelでは開けるのに、プログラムでは読めない 作業の入り口は、システムからデータをExcel形式で書き出すこと。これをプログラムで読み込んで処理する——そのはずだった。 ところが、読み込もうとするとエラーになる。**「このファイルは壊れています」**と言われる。 不思議なのは、同じファイルをExcelで開くと普通に開けることだ。中身も正常に見える。壊れているようにはまったく見えない。 「じゃあこっちの書き方が悪いんだろう」と思って何度も試したが、どうやっても読めない。ここでかなり時間を使った。 Excelファイルは、実は「圧縮ファイル」だった 原因を調べる過程で、自分が知らなかったことを知った。 **Excelファイル(.xlsx)は、中身が複数のファイルに分かれていて、それをひとまとめに圧縮した"箱"**なのだ。ZIPと同じ仕組みで、拡張子を.zipに書き換えれば中を覗くこともできる。 そして箱の中には、「どこに何が入っているか」を示す目次が付いている。 今回のファイルは、この目次の部分が壊れていた。 Excelは寛容だった:目次が怪しくても、中身を自力で探しに行って開いてくれる プログラムは正直だった:目次を信じて読もうとするので、「目次が壊れている=このファイルは壊れている」と判断して止まる つまりどちらも正しい動作で、「Excelで開けるから正常なファイル」とは限らないということだった。 目次を作り直して読ませた 対処は、箱の目次を無視して中身を頭から順に探し出し、目次を付け直すという方法をとった。 ファイルの中には、部品の始まりを示す決まった印がある。それを全部拾い出して、正しい構造に組み立て直す。そうすればプログラムからも普通に読めるようになる。 正直、この対処は自分ひとりでは絶対にたどり着けなかった。「Excelでは開けるのにプログラムでは読めない」という症状を伝えたら、Claudeが「ファイルの構造そのものが壊れている可能性がある」という筋を出してくれた。 自分にはそもそも「Excelファイルの中に目次がある」という知識がなかったので、疑うことすらできなかった。 前にも書いたが、非エンジニアがいちばん助かるのは「自分が知らないから疑えないこと」を出してもらえる場面だと思う(ClaudeとCopilotの比較でも同じことを書いた)。 本題:人の曖昧な判断を、ルールに落とす ファイルが読めるようになってからが本題だった。 これまで目でやっていた照合を、機械に任せるにはルールを言葉にしなければならない。やってみて気づいたのは、自分がやっていた判断は「合っている/違う」の2つではなかったということだ。 整理してみると、実際にはこうなっていた。 判定 どういう状態か 一致 正しい番号がきちんと書かれている 不一致 番号は書かれているが、正しいものと違う 名称のみ記載 番号はないが、取引先の名前は書かれている 名称のみ(ニュアンス) 名前の書き方が少し違うが、実質は合っていそう 記載なし 何も書かれていない 対象外 もともと確認の対象にしていない取引先 自分で無意識にやっていた判断を並べてみると、あいだの段階がいくつもあった。これに気づけたのが一番の収穫だったかもしれない。 「ニュアンス一致」という段階を作った いちばん悩んだのが4つ目の**「書き方が少し違うが、実質は合っていそう」**というケースだ。 会社名の書き方は揺れる。「株式会社」が付いているかどうか、略称で書かれているか、前後に余計な文字が付いているか。人が見れば同じだと分かるが、文字として完全に一致はしない。 これを「不一致」に入れてしまうと、要確認の山に大量の"実は問題ない案件"が混ざる。かといって「一致」にしてしまうと、本当に違うものを見逃すかもしれない。 そこで、専用の段階をひとつ作った。「たぶん合っているが、機械が断定はしない」という置き場所だ。 これは前回の記事で書いた「迷ったら要確認に入れる」と同じ考え方だ。白黒つけられないものを無理にどちらかへ寄せず、グレーの箱を用意する。 曖昧なものを扱うときは、これがいちばん事故が少ないと思う。 出てくるのは、色分けされた1つのExcel 処理が終わると、Excelファイルが1つ出てくる。中は9枚のシートに分かれている。 全体の集計(何件中、何件が要確認か) 全件の一覧(判定ごとに色分け) 要確認のものだけを集めたシート そのほか、判定ごとのシート 判定は色で分けてある。合っているものは緑、はっきり違うものは濃い赤、何も書かれていないものは赤、対象外はグレー。 狙いは全件を見なくて済むようにすることだ。以前は全部に目を通していたが、今は「要確認」のシートだけ開けばいい。 これも前に書いた話とつながる。書類の仕分けの記事で「人が見る場所を1か所に絞ることのほうが価値がある」と書いたが、今回も同じだった。自動化の成果は"作業が消えること"だけでなく、“見るべき場所が減ること"にもある。 今は「照合して」と伝えれば、このExcelが出てくるところまで自動になっている。 まとめ この作業から学んだことを3つ。 「Excelで開けるから正常」とは限らない。 システムが書き出したファイルは、見た目が普通でも中身が壊れていることがある 自分の判断を書き出すと、思っていたより段階が多い。 「合っている/違う」の2択でやっているつもりで、実は5〜6段階の判断をしていた グレーの箱を用意する。 白黒つけられないものを無理に寄せず、専用の置き場所を作ったほうが結果的に速い そして毎回思うのだが、詰まったときに効くのは「自分が知らないことを疑ってもらえる」ことだった。Excelファイルの中に目次があるなんて、この作業をするまで知りもしなかった。知らないことは疑えない。そこを埋めてもらえるかどうかが、非エンジニアが自動化を進められるかの分かれ目になっていると思う。

2026年8月15日 · 1 分
Salesforceの未連携チェックを自動化した

Salesforceの未連携チェックを自動化した|CSV連携でハマった6つの罠

「朝にしかできない仕事」だった Salesforceに登録された作業実績が、別の仕組みに正しく連携されているか。連携に失敗したものが残っていないか。これを毎日確認する仕事があった。 厄介だったのは、この確認が朝にしかできなかったことだ。 データを集計するバッチ処理が夜間に走る。だから前日分の結果が出揃うのは朝。そして確認した内容は朝礼で共有する必要がある。つまり毎朝、出社してから朝礼までのあいだに、Salesforceを開いてレポートを出して、未連携のものを拾い出す——という作業が固定で入っていた。 自動化の価値は「時短」だけではなかった こういう話を書くとき、たいていは「作業時間が何分減りました」という数字を出すものだと思う。ただ、今回いちばん効いたのはそこではなかった。 朝のいちばん忙しい時間帯を、この作業のために空けておかなくてよくなった。 作業そのものの時間が長いわけではない。それでも「朝礼に間に合わせなければならない」という制約があると、その時間は他のことに使えない。別の急ぎが入れば焦るし、遅れれば朝礼に響く。時間の"長さ"ではなく"時間帯"を拘束されることの負担は、実際にやっている人にしか分かりにくい部分だと思う。 自動化してからは、朝礼の前にはもうTeamsに一覧が届いている。自分が何時に出社しようが関係ない。この安心感が、削減できた分数よりずっと大きかった。 同じように「たいした時間じゃないから」と我慢している作業がある人は、時間の長さではなく"いつやらなければいけないか"で見直してみるといいかもしれない。 作ったもの 構成はシンプルだ。 Salesforce のレポート(毎日 自動実行) ↓ CSVを添付したメールが届く Power Automate ├ メールを受け取る(差出人と添付で判定) ├ CSVを1行ずつの形に分解する ├ 連携に失敗している行だけを抜き出す ├ 必要な4項目だけを取り出す └ 表の形にしてTeamsに投稿 Salesforceにはレポートを定期実行して結果をメールで送る機能がある。まずこれで毎日CSVが自分宛に届くようにして、そのメールをPower Automateが受け取って処理する、という流れだ。 なぜCSVとメールなのか 見ての通り、かなり古典的なやり方だ。今どきシステム同士を繋ぐならもっとスマートな方法がある。それでもこうした理由は2つある。 ひとつは、Claudeから直接Salesforceを触ることが、この時点ではできなかったこと。以前に社内環境で「何ができて何ができないか」を調べたときの結論がそのまま効いている(詳しくはこの記事に書いた)。 もうひとつは、メール経由なら管理者に頼まずに自分で組めたこと。システム同士を直接つなぐ設定には管理者の権限が要る。一方「レポートをメールで受け取る」「届いたメールを処理する」だけなら、一般ユーザーの権限で完結する。 つまりこれは、制約の中で自分だけで完結させるための選択だった。理想の構成ではないが、動くものが今日できることのほうが大事だと判断した。 ハマった6つの罠 ここからが本題。Power Automateの式を書く部分で、想像の3倍くらい詰まった。同じところで止まる人が絶対にいると思うので、全部書いておく。 罠1:文字化けする 届いたCSVの中身が文字化けした。原因はSalesforce側のCSV出力がShift-JISという古い文字の形式になっていたこと。 解決:Salesforceのレポート設定でエンコードをUnicode(UTF-8)に変更した。処理する側で頑張るより、出す側を直したほうが早い。 罠2:CSVが1行の塊のまま分解できない CSVを行ごとに分けようとしたのに、全部がひと繋がりのまま出てくる。改行で区切っているつもりが区切られない。 原因は改行の正体がCR+LFという2文字の組み合わせだったこと。単純な改行文字で切ろうとしても一致しない。 解決:区切り文字を直接指定する形にした。 split(base64ToString(items('For_each')?['contentBytes']), decodeUriComponent('%0D%0A')) 呪文にしか見えないと思うが、意味が分からなくても問題ない。自分も細部は分かっていない。「CSVが1行にまとまってしまう」ときはこの形と覚えておけば足りる。 罠3:フィルターが全件を通してしまう 「連携に失敗した行だけ」を抜き出したいのに、全部の行が通ってしまう。条件が効いていない。 原因は、CSVの中の値が 0 ではなく "0" だったこと。前後にダブルクォートが付いていて、見た目は同じでも別物として扱われていた。 解決:比較する前にクォートを取り除く。 @and(greater(length(split(item(), ',')), 8), equals(trim(replace(split(item(), ',')[8], '"', '')), '0')) 「見た目は合っているのに一致しない」ときは、たいてい目に見えない何かが混ざっている。前にも列名に改行が紛れ込んでいて同じ目に遭った。この手の問題は本当に気づきにくい。 罠4:Teamsに「True」とだけ届く 通知が動いた。喜んで見たら、Teamsに投稿されていたのは True の1単語だった。 原因は、投稿する内容を選ぶところでメールのHTML本文のほうを間違って選んでいたこと。似た名前の項目が並んでいて、正しいものを選べていなかった。 解決:選択肢の検索欄で「テーブル」と検索して、目当ての出力を選び直した。Power Automateは選択肢が大量に並ぶので、目で探さず検索するのが確実だった。 ...

2026年8月15日 · 1 分